母の注文住宅

父の死後、母は自分で間取りを考えて彦根市で新築注文住宅を建てました。終の棲家に、と考えてのことでしょう。私もとても気に入りました。ただ一つ、トイレを除いては。戦前生まれの母は洋式トイレを使ったことがなかったので、周囲の助言も聞かず、使い慣れた和式にしてしまったのです。

安全で快適なトイレを

30年ほど経ち母も高齢になり、「和式トイレは膝が辛い」と言い始めたので、トイレを洋式にリフォームすることにしました。さっそく、母の旧知の業者に来てもらい、一緒にカタログを見ながらイメージを膨らませます。これが一番楽しい工程でした。東北の11月はすでに冬ですが、工事期間中3日間は庭に設置した簡易トイレを使わなければなりません。でも母はまったく苦にせず、工事の様子を楽しそうに見守っていました。

家中で一番のご自慢

シャワー付きの温かい便座。自動水栓付きの小型手洗い器。手すりも付けてもらい、狭いながらも快適で安全なトイレに生まれ変わりました。「最初から洋式にしておけば良かった」と母は言いますが、今だから実現できた設計だと思います。母は、初めて訪れた人には真っ先にトイレを案内して自慢しているようです。